AI秘書 稼働中 — 本日のタスクを処理しています --:--:--
openlab

生成AIを全社に広げるには?浸透の4段階と月40時間削減の実例

公開日 / 最終更新 / 著者 古賀義隆

結論から言うと、生成AIが「使える一人」で止まる最大の原因はツールの性能ではなく、広げ方の段階設計がないことです。2026年7月10日に開催した第28回AIオープンラボでは、ゲスト登壇いただいた大手通信グループの事業会社から、全社浸透を「①誰か一人が走り出す→②経営層を巻き込む→③勉強会で裾野を広げる→④事例を横展開する」の4段階で進めた実例が共有されました。同社の人事問い合わせ対応は月40時間から10時間へ、契約書類の音声入力から台帳転記までの業務は月30時間から5時間へ削減されています。

なぜ生成AIは「使える一人」で止まってしまうのか

社内で生成AIが広がらないとき、多くの会社では「熱心な社員が1人だけ使いこなしている」状態で止まっています。この状態が止まりやすいのは、その1人の成果が他の社員にとって「その人だから出せた成果」に見えるからです。第28回AIオープンラボに登壇された同社のAI推進担当者も、出発点は社内でたった1人が勝手に触り始めたところだったと話されていました。重要なのは、その1人を称賛して終わらせず、次の段階へ意図的に進めることです。段階を設計しないまま「全社で使いましょう」と号令をかけると、使える1人と使わない大多数の差が固定され、かえって広がらなくなります。

全社に広げる4段階とは何か

共有された進め方は、次の4段階のサイクルでした。

1. 一人が走り出す──最初は誰か1人の個人利用で構いません。ここで成果物の実物を作ることが次の段階の材料になります。 2. 経営層を巻き込む──同社では組織長と毎週AIについて議論する場を設け、現場からの持ち上げだけに頼らない体制を作っていました。 3. 勉強会で裾野を広げる──親会社から約50時間の研修を受け、それを社内向けに再構成して展開しています。 4. 事例を横展開する──成功事例を他部署へ移植し、次の担当者を育てる段階です。

あわせて紹介されたのが、業務側から見た3ステップ(個人利用→業務ワークフローへの組み込み→顧客への価値提供)という別軸の整理です。組織の広がり(4段階)と業務の深まり(3ステップ)は別物であり、どちらか片方だけを進めても定着しません。

浸透しているかどうかは何で測ればいいのか

浸透の度合いは、感覚ではなく利用状況の数字で測ります。同社では利用状況ダッシュボードを作り、「まだ使っていない管理職」が誰かを可視化していました。管理職が使っていない部署では、その下の社員も使わないためです。もう1つ紹介されたのが社内のプロンプト共有サイトで、当初は「いいね」機能を付けたものの実際にはほとんど押されず、クリック数の表示に切り替えたところ、どのプロンプトが実務で使われているかが見えるようになったそうです。評価してもらう指標ではなく、実際に使われた回数を測る指標に変えたことが改善点でした。中小企業でも、利用ログが取れるプランを選んでおくだけで、この「誰が使っていないか」は把握できます。

大企業の事例を中小企業にどう翻訳するか

大企業の施策をそのまま持ち込む必要はありません。同社では全社員がカスタムGPTを100個作るという課題を出し、生成AIアイデアコンテストには3万件を超える応募が集まりました。社員数が数十名の会社でこの数字を追う意味はありません。翻訳すべきは数字ではなく構造です。「全社員に手を動かさせる機会を1回作る」「出てきたアイデアを人前で表彰する」という2点だけを取り出せば、社員10名の会社なら「1人3個のカスタムGPTを作って朝礼で発表する」で十分に同じ効果が得られます。同社の事例のうち、外部ツールの年間契約約900万円分を社内で内製化して置き換えた話も、中小企業では「月数千円のサブスクを1本減らす」に翻訳できます。規模を落としても構造は保てます。

失敗例・注意点:数字だけを真似すると必ず止まる

最も多い失敗は、他社事例の削減時間だけを目標値として現場に下ろしてしまうことです。「月40時間を10時間にした事例がある」という数字は、研修・実践・横展開という前段の3ステップを踏んだ結果として出たものであり、前段を飛ばして数字だけを掲げると、現場には「無理な目標を押し付けられた」という印象しか残りません。もう1つの失敗は、経営層を巻き込む段階(第2段階)を飛ばして勉強会から始めることです。勉強会は参加者の熱量に依存するため、経営層が関与しないまま開くと、熱心な人だけが集まって元の「一人が使えている」状態に戻ります。第28回のQ&Aでも、参加者から「もっと自社に近いリアルな事例が欲しい」という率直な声が出ました。規模も業種も違う事例をそのまま輸入しないことが、遠回りに見えて最短距離です。

よくある質問

Q. 最初の1人は誰に任せるのが適切ですか? A. 業務の困りごとを最も具体的に説明できる人が適任で、IT部門である必要はありません。

Q. 経営層を巻き込むには何を見せればいいですか? A. 削減時間の見込みではなく、既にできあがった成果物の実物を見せるのが最も早いです。

Q. 勉強会は何回くらい開けばいいですか? A. 回数より頻度が重要で、月1回を最低半年続ける前提で設計してください。

まとめ:明日からの1アクション

生成AIが一部で止まる原因は性能ではなく段階設計の欠如です。①一人が走り出す→②経営層を巻き込む→③勉強会→④横展開の4段階のうち、自社が今どこにいるかを1分で確認してください。もし①で止まっているなら、明日その1人が作った成果物を1つ、経営会議か朝礼の場に出すところから始められます。

毎月第2金曜開催のAIオープンラボでは、こうした社内浸透の実例をゲスト講演と参加者同士の質疑を交えて毎回扱っています。現地・オンラインどちらでも参加でき、初参加の方も多く来られます。 申込フォーム: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdV_GSH6hlP_Z99aYqt6yKp9treWALK03tHyMih46hIsHhwsw/viewform

著者: 古賀義隆(古賀マネージメント総研 AIサポート事業部 部長)。毎月AIオープンラボを主催(第31回まで開催済)、行政機関・一般企業(上場企業含む)でのセミナー講師。
タグ: 生成AI / AI導入 / 社内浸透 / 中小企業 / AIオープンラボ
→ AI導入の無料相談はこちら

$ 注:この記事の初稿はAI秘書が書き、部長が事実確認・赤入れをしています。